港区の文化財を通じた江戸追体験
~260年の平和を支えた精神と仕組みを探求する〜
2026年9月27日、港区内の文化財を巡る「港区文化財まち歩きツアー」の第4回目が開催されました。ガイドを務めたのは、港区観光大使の澤内隆(さわうち・たかし)さんと日比野薫(ひびの・かおる)さんです。今回は「交通」をテーマにしたまち歩きツアーで、定員20名に対して応募数が169名。倍率は約8倍に達するなど、多くの関心が寄せられました。
当日は芝大神宮を起点に、増上寺や芝公園、日比谷通りを歩きながら、現代へと受け継がれてきた文化財をヒントに港区の歴史をたどりました。
増上寺では、芝大門から三解脱門(さんげだつもん)までの距離が煩悩の数である108間(約195メートル)とされていることや、明暦(めいれき)の大火後に火除地が設けられたこと、第一回まち歩きツアーでも紹介された練塀(ねりべい)など、都市防災と寺院が果たした役割についての解説を通じて、江戸から現代まで受け継がれてきた歴史の重みを感じる機会となりました。講師の澤内氏からは切絵図の読み方も紹介され、参加者はまちに残る歴史の痕跡を読み解く視点を学びました。
また本企画は、ツアー終了後も、港区に残る江戸の文化財や歴史的景観をより深く楽しむためのヒントが随所に盛り込まれているのが特徴です。
ツアーでは、瓦の再利用や、臥龍垣(がりゅうがき)という竹を用いた伝統的な建築技術など、普段過ごしている街中に潜む、江戸時代から受け継がれてきている知恵にも触れました。

また、東海道の起点に近い港区が海上交通と陸上交通の結節点であったことや、雑魚場(ざこば)の歴史を伝える港区立本芝公園、札ノ辻(ふだのつじ)に残る史跡から、物流や情報伝達が江戸の発展を支えていたことも紹介されました。

参加者は、東京タワーや高層ビルが立ち並ぶ現在の景観の中に、江戸の都市構造や人々の暮らしの痕跡を見いだしながら散策しました。江戸の象徴、昭和の象徴、そして令和の象徴が重なり合う港区ならではの風景を通じて、歴史が今のまちにつながっていることを実感するまち歩きとなりました。
