港区の文化財を通じた江戸追体験
~260年の平和を支えた精神と仕組みを探求する~
2026年5月12日、港区内の徳川関連文化財を題材に、観光ボランティアガイドとして必要な視点や伝え方を学ぶ「港区文化財セミナー(ガイド向け)」の第3回目が開催されました。本セミナーは、文化財を通じて江戸時代の人々の価値観を読み解き、来訪者にわかりやすく伝えるガイド手法の習得を目的としています。
今回のテーマである「文化」は、平和な時代を生きた江戸の人々の思いに着目し、文化財を理解するための視点として取り上げられました。参加者のうち約8割が前回までの講座や研修に参加した経験があり、4月18日に行われた観光ボランティア向けのまち歩きツアーに参加した経験のある方は約半分と、港区の観光ボランティアの皆様が勉強熱心であることが伺えます。
講義では、文化と文明の違いを踏まえながら文化の概念が説明されるとともに、寛永、元禄、化政といった江戸文化の変遷を整理。朱子学を基盤とする儒教的価値観や、寺子屋を通じた教育の普及によって高い識字率が形成された背景についても解説が行われました。
さらに、浮世絵や読本、歌舞伎などに見られるように、「遊び」と「学び」が結びつき、娯楽を通じて知識や教養を深める文化が広がっていたことも江戸文化の特徴のひとつです。港区に残る神社や祭礼などの文化財を事例に、当時の人々の心や慣習を読み解く視点が提示され、文化財を軸に物語として歴史を伝える重要性が示されました。
講師を務めたのは、自身も旅行会社での勤務経験のある平成芭蕉こと黒田尚嗣(くろだ・なおつぐ)日本遺産普及協会代表監事です。

出典:『幼童席書会』(東京学芸大学附属図書館所蔵)https://d-archive.u-gakugei.ac.jp/item/00089909
